【製造業】平成28年度 地域経済動向調査


第1章 地域経済動向の調査概要(製造業)

(1)調査目的

 小規模事業者から無作為に抽出した事業者から、アンケート調査等で得られた個々の企業の売上動向、仕入動向、資金繰り動向・採算動向等の調査結果と、4半期に1回実施する景況調査、日本政策金融公庫の各種実態調査、その他統計資料情報等から得られる地域の経済動向資料を調査・分析し、個々の企業の経営状況に応じた情報提供体制を整備する。

 

(2)調査期間・方法

  • 調査期間:平成28年11月15日~平成28年12月15日
  • 調査内容:巻末のアンケート調査票を参照願います。
  • 調査方法:商工会会員の小規模事業者に調査票を配布、記入後商工会が、郵送・FAXにて回収した。
  • 集計・分析期間:平成28年12月25日~1月31日

      回収結果:配布枚数 34枚

                       回収枚数 24枚

                       回収率  70.5%

 

(3)集計やグラフについて

  • SA(選択肢から1項目のみ選択)、MA(複数選択)、数量(数字記入)を表す。
  • 単純集計は、不明(無回答)を含め100%として集計した。(「不明」は、選択もしくは記入がなかった回答の件数。)
  • MAは回答のあった合計件数を表記、構成比は回答者数に対する比率を表記したため100%を超えている。
  • 集計表を目視で理解しやすいよう、ウェイトが高いカテゴリーを網掛けし強調した。
  • 円グラフのデータラベルの%標記は、スペースの関係で整数表記とした。

 

【注意点】

  • 調査・集計結果の本文では、主要な数値やグラフを用いて表現し、一部は割愛した。
  • 詳細なデータは、「第4章 参考資料」にある調査票や集計表を参照のこと。

第2章 製造業調査・集計結果

1.調査企業の概要

(1)営業年数(数量)

 営業年数を10年単位でみると、「10年代」が4件(16.7%)で最も多い。続いて「9年以下」「50年代」の各3件(12.5%)となっている。全体として、均等にばらついている印象である。

 

(2)代表者の年齢(数量)

 代表者の年齢を10年単位でみると、「60歳代」が9件(37.5%)で最も多く、2番目が「70歳以上」で、合わせると60歳以上が66.7%となり、代表者の高齢化が進んでいる。

 

(3)役員・従業員数

 役員・事業主数は「1人」が12件、「2~5人」が10件。正社員数は「0人」と「2~5人」が各8件。パートは「2~5人」が12件、「0人」が7件となっている。これらを合計人数でみると、「2~5人」が16件(66.7%)と小規模事業者が多いものの、10人以上の企業も7社ある。

 

(4)売上高(SA)

 売上高は「1千万円以下」、「3千万円以下」が各9件(37.5%)で、両者を合わせると75%となる。また、5億円超の企業が1社ある。

2.質問に対する回答集計・分析結果

Q1 事業所の属する業種

 製造業の主な作業種別をみると、「木材・木製品」が6件(25%)、「食料品」が5件(20.8%)、「印刷・同関連業」が2件、「金属製品」、「電気機器」、「輸送用機器」が各1件となっている。
その他には、砕石仕入販売、製造業、畳、自動車用ワイヤーハーネス、石材加工、縫製、製造業の記載があった。

 

Q2 後継者の有無について

 後継者に関する質問で、「後継者がいる(親族)」は11件(45.8%)、「後継者なし」は15件(50%)となっている。


 

 「後継者あり」の事業承継予定時期は、「特に決めていない」が10件で不明を除くと全回答となった。また、「事業承継を進める上での課題」としては「特にない」の回答が多かったが、「後継者教育」との回答も3件あった。

 

 「後継者なし」の承継の見通しは、「事業継承者を探す」が2件であった、一方で「事業廃業」が4件ある。また、「特に考えていない」が一番多い5件あった。

 

Q3 事業所の業務内容

 業務内容では「自社商品を企画し、主要部分を社内で生産し、販売している」が14件(58.3%)
と最も多く、「他社企画の製品の一部を生産・加工する」4件(16.7%)、「他社企画の製品を完成させて納入する」3件(12.5%)、「自社製品を企画し、主要部品は外注で生産し、販売している」1件(4.2%)と続いている。

 

Q4 事業所の受注先・外注先

(1)受注先企業数
 受注先企業数は、「それ以上」の11箇所以上が8件(33.3%)で最も多く、「1~2箇所」が6件(25%)、「6~10箇所」が4件(16.7%)、「3~5箇所」(12.5%)となっている。


(2)外注先企業数
 外注先企業は「ない」が7件(29.2%)で最も多く、「1~2箇所」が6件(25%)、「3~5箇所」が2件(8.3%)、「6~10箇所」が1件(4.2%)と、外注先の企業が少ない割合が高くなっている。

 

Q5 最も得意とするもの

 最も得意とするものとしては、「正確な生産力」が10件(41.7%)で最も多く、「柔軟性と機動力」が5件(20.8%)で続き、以下「同業者との連携」が2件(8.3%)、「企画・デザイン力」と「営業力」が各1件で、生産技術や生産体制を得意とする企業が多くみられた。
 その他には、特にない・高品質の記載があった。

 

Q6 受注先企業の特徴

 受注先の企業の特徴としては、「商社、問屋、販売業者」が7件(29.2%)で最も多く、「特定の大企業に属していない製造企業」が4件(16.7%)、「完成品、部品、素材の大メーカー」と「大メーカーの子会社、関連会社、協力会社」が各3件(12.5%)となっている。
 その他には、個人他・企業、一般、山口市近辺の生コン会社、個人、個人顧客の記載があった。

 

Q7 最大の受注先・外注先

(1)受注額の割合
 最大の受注先に対する受注額の割合は、「半分程度」と「一部(2~3割)」が各6件(25%)と多いものの、「大部分」が5件(20.8%)、「一部(1割以下)」が4件(16.7%)で、大きな差はない。

 

(2)外注額の割合
 最大の外注先に対する外注額の割合は、「一部(2~3割)」と「一部(1割以下)」が4件(16.7%)で、「半分程度」が3件(12.5%)、「大部分」は1件(4.2%)となっている。

 

Q8 昨年の設備投資動向(SA)

 設備投資を「実施した」企業は4件(16.7%)で、「実施していない」企業19件(79.2%)を大きく下回った。 また、実施した設備投資内容は、「生産設備」が4件(16.7%)で最も多く、次が「工場建物」が2件(8.3%)、「付帯設備」が1件(4.2%)と続いている。


 

Q9 今期の業績見通し(SA)

(1)売上(加工)金額
 前期と比較した売上(加工)金額が、「増加」は2件(8.3%)で、「減少」の14件(58.3%)の1/7と大きく下回った。


 

(2)売上(加工)の増減状況
 前期と比較した売上(加工)金額の増減割合を聞いたところ、増加は「約1割増加」と「2倍以上増加」が各1件であった。逆に「減少」は多く、「約1割減少」が6件、「約2割減少」が5件で、「2倍以上減少」が2件ある。

 

(3)売上単価等の状況
 業績を左右する単価や数量等7項目を、「増加」、「不変」、「減少」から択一で質問した。どの業況項目も「不変」が半数程度あるが、これを除き「増加」と「減少」をグラフにした。

 

 売上単価は「増加」と「減少」が同数となっているが、売上数量は「減少」が「増加」を大きく上回る一方で、仕入単価は「増加」が「減少」を上回り、売上が減少する中で、仕入単価が上昇し、採算・業況が悪化しており、資金繰りや来期の業況感も悪くなっている。

 

Q10 直面している経営上の問題点(SA)

 現在直面している経営上の問題点を3つ選択してもらった。

 

 優先度の高い問題点として、「景気や需要の低迷」を選択した企業が16件と最も多く、2番目以降を大きく引き離している。続いて「生産設備の不足・老朽化」が7件で、「生産ニーズの変化への対応」、「人件費の増加」、「原材料費・人件費以外の経費増加」が各6件、「生産(加工)単価の低下・上昇難」が5件、「従業員の確保難」が4件、「原材料価格の上昇」、「取引条件の悪化」、「熟練技術者の確保難」が各3件、以下「新規参入業者の増加」、「原材料の不足」、「事業資金の借入難」となっている。その他には「高齢化」の記載があった。

 

Q11 今後の経営方針

 前問と同様に、経営上の問題に対する今後の経営方針を、選択してもらった。

 「現状を維持しながら効率化を図る」が13件で最も多く、「経費を徹底的に見直し削減努力をする」、「将来的には廃業も考えている」が各8件、「営業力の強化により取引先を増やす」、「経営を縮小し採算を合わせていく」が各4件で続いた。
 「将来的には廃業も考えている」等、厳しい状況の回答が上位にある中、「新製品開発などの技術革新」、「新市場開拓(海外市場など)」、「生産設備増強による規模拡大」の攻めの経営方針を示す回答が各3件あった。

 

Q12 今後の経営方針達成に必要な取組等

 前問に関連し、経営方針の達成に必要な取組を、選択してもらった。
「現状を把握し、将来への展望や効率化を分析するための自社経営分析」と、「従業員の確保と人材育成強化」が7件で最も多く、続いて「将来を見据えた(縮小や廃業のための)経営計画書策定」が5件、「スキルを向上するための勉強会やセミナーへの参加」、「将来を見据えた(業績UPのための)経営計画書策定」、「販路開拓につなげるための補助金活用計画書の策定」が各3件、「資金繰り計画や新たな金融支援」が2件、「異業種交流など業界動向などの情報収集」が1件となっている。

 

Q13 商工会への意見や要望

以下、2件の記載があった。

  • ご支援感謝しています。
  • 高齢化、人口減少に対応すべく、小売業者の連携と抜本的な対応が必要。

第3章 調査結果のまとめ

 今回実施した地域の経済動向調査の結果判明した、徳地地域における製造業の概要及び経営状況、経営課題と方向性は、以下のとおりである。

調査企業の概要

  • 営業年数は「10年代」が最も多いが、突出しているわけではなく、各営業年数が平均的に分布している。
  • 代表者の年齢は、60歳以上が約66.7%と高齢化が進んでいる。
  • 従業員5人以下が66.7%、売上3千万円以下75%と、小規模事業者が多い一方、従業員数10人以上が7社ある。
主たる業種等
  • 「木材・木製品」が6件、「食料品」5件、「印刷・同関連業」が2件となっている。
後継者問題
  • 後継者が「いる」11件に対し、「なし」が12件でほぼ同数である。
  • 後継者「いる」の全数が、「事業承継時期を特に決めていない」。
  • 「事業承継の課題」は、「後継者教育」が3件で最も多かった。
  • 後継者なしの対応は、「特に考えていない」が最も多く5件で、「事業廃業」が4件あった。
業務内容
  • 「自社製品を企画し、主要部品を社内で生産し、販売している」が、14件(58.3%)と最も多かった。
事業所の受注先・外注先
  • 受注先企業数は「11箇所以上」が最も多く、外注先企業数は「ない」が最も多く、多数の受注先に自社の生産力のみで対応する企業が多い。
最も得意とするもの
  • 「正確な生産力」「柔軟性と機動力」が上位に入り、生産技術や生産体制を得意とする企業が多くみられる。
受注先企業の特徴
  • 「商社、問屋、販売店」が最も多く、下請けではなく自社の販売ルートをもつ企業が多いと思われる。
最大の受注先・外注先
  • 最大の受注先に対する受注割合は「半分程度」「2~3割」に対して、最大の外注先の外注割合は「2~3割」「1割以下」の回答が多かった。
設備投資状況
  • 設備投資実施企業は4件で、実施していない企業の19件を下回った。
  • 設備投資内容は生産設備4件、工場建物2件、付帯設備1件。
今期の業績見通し
  • 売上増加は2件(8.3%)で、「減少」の14件(58.3%)の1/7。
  • 売上増加、1割と2倍以上が各1件。対して、売上減少、1割6件、2割5件と多く、2倍以上減少の大幅減少も2件ある。
  • 売上数量が減少する一方、仕入単価が増加、採算・業況が悪化している。
直面する経営課題
  • 「景気や需要の低迷」を選択した企業が最も多かった。
今後の経営方針
  • 「現状を維持しながら効率化を図る」が最も多い
今後必要な取組
  • 「現状を把握し、将来への展望や効率化を分析するための自社経営分析」、「従業員の確保と人材育成強化」をあげる企業が多い。

第4章 参考資料

(1)アンケート調査票【製造業】

ダウンロード
【製造業】アンケート調査票.pdf
PDFファイル 555.5 KB

(2)単純集計表

ダウンロード
印刷用PDF
平成28年度 製造業_徳地商工会経営発達支援計画調査報告書.pdf
PDFファイル 1.3 MB